皆様は自社の社宅規定について、「問題なく策定できている」と自信をもって言えますか?
ネット検索して『社宅規定の作り方』の記事を参考にするだけでもある程度のものは作れますが、それだけでは「あなたの会社のための規定」にはなりません。
なぜなら“業種/企業特有の事情”が反映されていないからです。
土台が作れたらなら更にもう一歩、より“自分の会社のための社宅規定”になるよう
「うちの会社では何の項目を重視するべき?」
「ここの規定はもっと厳しく設定した方がいいのか」
と気にしてみましょう!
例えば他企業ではこんな事情を考慮して規定を策定しています。
── 目次 ──
<業界別>社宅規定、何を重視する?
─ (1)メディア系の場合
─ (2)保険系の場合
─ (3)工場系の場合
─ (4)ライン保守・製造系の場合
─ (5)飲食・接客系の場合
─ (6)IT系の場合
─ (7)人材派遣系の場合
<企業別>社宅規定、何を重視する?
─ (1)災害発生が懸念される地域の場合
─ (2)女性従業員が多い企業の場合
─ (3)大手・上場企業の場合
─ (4)堅い企業の場合
─ (5)周辺環境に注意する場合
<まとめ>「何に注意するべき?」は企業による
社宅規定の中でも会社と自宅の距離が離れすぎないよう『距離』を重視します。
地域によっては災害警戒区域を必ず避け『〇階以上』の規定を設けます。
メディア業界は24時間稼働が基本の世界です。
有事の際には社員がすぐに会社(あるいは現場)に駆け付け、状況確認と報道を迅速に行うことのできる環境が求められます。
そして報道のためにはまず自分達の身が安全であることが大切ですから、社員達が被災しないよう安全な場所に住んでもらう必要があるのです。
『マンションの構造』『〇階以上』『旧耐震NG』『ハザードマップ要確認』など、住まいの安全性に関わる項目を重視します。
こちらもメディア系と似ていますが、社員自身が安全な環境に身を置いている事が大切です。保険業はより“安全性”に重きを置いています。
同じ地域内でも細かく警戒区域が指定されていると「2丁目の東側は良いけど西側はNG」「××市は川から〇m以内はNG、ただし海抜〇m以上ならOK」のように細かい規定になってしまうことがあります。
その場合は管理がしやすいよう「××市全体NG」と規定することもできますが、物件の数が少ない地域ではお部屋探しが困難になってしまうため注意が必要です。
契約条件として『入居者入替』と『短期解約違約金』の設定に注意。退去時に関わってくる項目が重要視されています。
工場系は短期労働の方がいたり辞める人が出てきたりと、人の入れ替わりが激しい職場であることが多いです。
そのため「せっかく部屋を契約したのにもう退去になってしまった」という状況は珍しくありません。
解約してまた次の社宅利用希望者の部屋を探して契約……とするのは手間も時間もお金もかかるので、“名義は法人のまま入居者を変えてもいい”特約が喜ばれます。
入れ替えができない場合は違約金が発生することもあるため、極端に高額な金額が設定されていないか十分注意する必要があります。
違約金の支払いは誰が行うのか、何か月分までなら契約OKとするのかを設定しましょう。
『車通勤禁止』『勤務先から500m以内』など、社宅が徒歩圏内であることが重要視されています。
ライン保守・製造系の場合取引先からの依頼で作業を行っています。
ラインが止まると取引先に迷惑が掛かってしまうので、会社の機能が止まってしまうことは絶対に避けたいのです。
そのため緊急事態にはすぐに会社に来ることのできる環境が求められます。
車は万が一「エンジントラブルで動かない!」こともありますから、徒歩圏内で規定を作ることが珍しくありません。
会社からの『距離』を重視する傾向です。
これまで挙げたような理由も当てはまりますが、もう一つ理由があります。
飲食・接客業はお店自体が遅くまで営業しているため、従業員の帰宅時間が深夜になるお店も多いです。
電車やバスの本数が少なければ帰宅が困難な上、昼間に比べるとやはりトラブルに巻き込まれる可能性も高くなります。
従業員の身の安全のためにもできるだけお店から離れすぎない距離でお部屋探しをするよう規定を設けています。
『インターネット環境』『オートロック』など、セキュリティを中心に物件内部の環境を重視します。
IT系は他と比べるとテレワーク化が進んでいる業界です。
自宅で作業をする方が多いため、防音防犯・インターネットセキュリティに目を向けています。
反対に『距離』などの項目は他の業界と比べると制限が緩い傾向です。
今まで挙げた中では特に規定が厳しいです。
『敷金礼金ゼロ』『短期解約違約金無し』『即入居可』『家具家電付き』など細部にわたり、かつこれら全てを設定していることもあります。
人材派遣系は他の業界と比べると退職するスピードが圧倒的に早いです。
「採用したが数日(あるいは入社前)で辞めてしまった」なんてこともあまり珍しくありません。
また、採用→入社&業務開始までのスピードも速く、お部屋探し~入居までをたった5日(!)で行うこともあります。
そのためすぐに居住できるよう『即入居可』や『家具家電付』を優先しているのです。
業界に限らずそれぞれの企業の特徴でも注意すべきことが変わってきます。
皆さんの会社の社宅規定では、以下のような配慮はできているでしょうか?
こちらは当然『土砂災害警戒区域NG』などの他、『〇階以上』など安全性を重視します。
ハザードマップの確認は最重要です。
地方ですと地形の問題で川に囲まれた立地に立つ企業もあります。
万が一橋が壊れたら大変なので「××川を越えない範囲」を距離規定に定めるなどその企業ならではの規定を設けます。
『オートロック』『マンション』『防犯カメラあり』『1階NG』などセキュリティ面を重視します。
社宅は1人暮らしで使用する方がほとんどなので、女性従業員が多い企業の場合特にセキュリティ面に気を遣うことはとても大事です。
オートロックや防犯カメラのついたマンションはどうしても家賃が高くなりがちです。
セキュリティ面を重視すると避けられないことなので、こうした場合多くの企業は『家賃上限』を引き上げています。
ただ家賃上限を上げると会社負担額も増えるため注意が必要です。
(1)“補助額”を重視
→『家賃上限』はそのままにして『アパート可』『1階もOK』に
→会社負担は少なくて済む
(2)“セキュリティ面”を重視
→『オートロック』『防犯カメラ』の付いたマンションのみを指定するが、『家賃上限』は引き上げる
→会社負担が増える
といったように、どの項目を優先するかで他の項目も変わってきます。
社宅規定は勤続年数や役職によって上限/下限範囲を決めることがありますが、大手・上場企業の場合は各項目について“男女とも同じくらいの規定”で定めていることがあります。
特に大手・上場企業はクリーンな企業であるためにコンプライアンス研修を定期的に行ったり労働組合が存在したりと、内部での様々な取り組みが積極的です。
そして女性管理職の増加や男性が育児休暇を取得しやすい環境作りなど、現在も日本社会は“男女平等”を目指しています。
「男性だから/女性だから」を理由に規定を策定すると企業モラルに反するとの理由から、できるだけ規定に差が出ないよう注意しているのです。
こちらはあまり見ない規定ですが『1つのマンションに1人しか住んではいけない』『支社長の社宅から500m以内の物件は不可』など従業員同士の社宅の位置関係を重視している企業もあります。
この規定を盛り込まれると、同じエリアで何人も社宅を利用している場合お部屋探しが困難になります。
せっかく気に入った物件があっても支社長宅と距離が近ければ別の家を探す羽目に...通常よりも探せる範囲が狭まるので設定している企業は少ないです。
一見厳しい規定に見えますがこれには従業員のプライベートを確保する目的があります。
以前のコラムでも触れましたが、今は「仕事とプライベートは分ける」のが当たり前。
そのため時代に合わせた規定と言えるでしょう。
ただその結果お部屋が探せなくなっては本末転倒なので、該当エリアの社宅利用人数や物件数などを配慮しながら設定できると良いですね。
☆『知れば納得!『借上げ社宅』の需要が高いわけ』より
社員寮の場合、大抵は同じ物件内に会社の人間が住んでいます。
「定年まで働き続ける」ことが当たり前だった時代では企業と社員の繋がりも深く、近所に会社の人がいるという環境でも適応しようとする方が大半でしたが、現代では雇用も変化して転職も珍しくない時代です。そのため「仕事とプライベートは分ける」「会社の人とはある程度の距離を保ちたい」……つまり同じ社宅に同じ会社の人がいることで、「会社と家が同じような環境になるのは極力避けたい!」という意識を持つ方も増えてきました。
『飲食店が入っている物件/隣に飲食店がある物件は不可』『繁華街から〇m以上離れること』など、周辺環境について注意している場合もあります。
食材を扱うためどうしても虫やネズミが湧くことが懸念されます。
油モノや甘いお菓子を販売しているお店を中心に、衛生面を考慮して避ける企業は多いです。
夜でも明るいから安心……ということは無く、逆に「夜まで人がいるから騒がしい」エリアなのでトラブルが懸念されます。
繫華街に勤めている方は深夜~早朝に帰宅する場合があり、徒歩圏内の物件に住んでいる方も当然います。
もし同じ物件に住んだ場合、生活のリズムが違うためお互い「自分が寝ている間に相手は起きている」状態となり、生活音や話し声のトラブルが発生しやすくなってしまうのです。
このように各業種や企業ごとに配慮すべき事項はいくつもあります。
ここまでお読みいただいた中で「その設定は必要ないな」「うちでもこの規定は合った方が良さそうだ」と思った点もあったかと思います。
考え方は企業によってバラバラなので、サンプル通りに作るだけではなく自分の会社ではどうなのか?を気にすることが大切です。
→ そのためにどんな項目に注意すればいいのか?
これらを考え、規定に+αを設けましょう。
その結果一見厳しく見える規定になったとしても、きちんと説明できる理由があれば社宅を利用する社員も納得しやすいです。
こういった注意点はもちろん社宅規定を策定する際に気付けると良いのですが、借上げ社宅の運用をスタートさせてから不便さがわかることもありますよね。
「今から規定を変えるのも面倒だ」
「変更したことで社員からクレームが入ったらどうしよう」
そんな考えもちらついてしまいますが、よりよい社宅運用のためにはどんどん改良していきましょう。
会社の実情や時代の流れ、地域慣習に合わせた規定を作ると管理運用もしやすくなります。
どんなに良い社宅規定が作れても、代行会社が動いてくれなかったら業務の負担は削減できません。
代行会社を選ぶ際には、
以上のような柔軟性を持って動いてくれるか確認しましょう。改良できる点について指摘&アドバイスをしてくれるとさらに安心です。
プレニーズでもご担当者様からのご相談を受け、各法人様の実情に合わせた社宅規定を整備することを大事にしています。
あなたの会社の業界ではどんな“事情”に考慮すべきでしょうか。
そのための規定は整備できていますか?
どうやって”事情”を見つけたらいいかわからない、導入は未定だけど試しにプロに相談してみたい、という段階の方もぜひご連絡ください。
プレニーズの担当者が社宅規定の策定方法や代行会社の選び方のコツなどを伝授します。
コンサルティングは無料ですので、気になる点がありましたらお気軽にお問い合わせください!
株式会社プレニーズ神田店
営業時間 09:30-18:30(土日・祝日を除く)
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