社宅制度を快適に運用するためには、土台となる社宅規定を慎重に定める必要があります。
規定の内容を大まかに分けると以下の通り。
これまで『「どんな部屋を借りるべき?」社宅規定の作り方~お部屋探し編~』、『「契約の取り決めは慎重に!」社宅規定の作り方~契約編~』とご紹介してきました。
プレニーズがコンサルタントに入らせていただいた際にも「この項目は追加した方が良いですよ」とご提案をするのですが、長年社宅制度を運用している企業様でも意外と「これ設定した方がいいんだ!」「今まで気にしてなかった」なんて初めて関心を持っていただけることがあります。
うちは大丈夫!と油断せずに、規定の見直しを行ってより快適な社宅制度として運用していきましょう。
さて、今回は社宅規定の作り方~○○編~のラストとして、契約の際に管理会社から提出を求めれられる書類をご紹介します。
法人契約するにあたってどのような点に配慮すれば良いのか?なぜその項目を設定する必要があるのか?をご確認ください。
提出を求められることが多い書類 ─ 目次 ─
法人関係 |
⦅1⦆ 会社の登記事項証明書(登記簿謄本) ⦅2⦆ 会社の印鑑登録証明書 ⦅3⦆ 決算書 ⦅4⦆ 代表取締役の印鑑登録証明書 |
入居者関係 |
⦅1⦆ 身分証/健康保険証 ⦅2⦆ 住民票 ⦅3⦆ 内定通知書 ⦅4⦆ 印鑑証明書 |
法人関係
提出を求められることが多い書類4項目
お部屋の契約毎に提出する必要がある上に、管理会社によって用意しなければいけない書類も変わります。
社宅が多ければその時の気分で出す/出さないを判断することはあまり考えにくいでしょう。
だからといって「規定を決めるのは面倒だからなんでもOK」にすると逆に負担が増大することに……。
事前にどの書類なら準備ができるのか、誰が準備するのか?を定めておくと手続きがスムーズに進められます。
どのような書類を求められるのかご確認ください。
皆様ご存じの通り会社の代表や事務所の所在地など基本的な事項が記載されている書類です。
「登記簿謄本」の方が聞きなじみがあるかと思いますが、かつて紙で管理されていた謄本を電子データで管理するようになったため現在では『登記事項証明書』が正式名称となっています。とはいえ本質は同じなので、管理会社から「登記事項証明書を提出してください」と言われたら登記簿謄本のことだと思っていただいて大丈夫です。
ざっくり言えば本当に実在しているか、そしてどんな内容の会社なのかを見ています。法人名義で契約を交わすのですから会社の情報に嘘が無いかを公的な証明書で確認するのです。
……などその会社の正確な情報が記されており、申込内容と相違ないか確認が行われます。
登記事項証明書は手数料を払えば誰でも取得することが可能なので、総務部の方が取得作業を担当している企業が多いです。
実際に管理会社から提出を求められた際に誰に依頼するのか、社内ルールを定めておきましょう。
法務局に行かなくてもインターネットサービスの登記情報提供サービスから取得が可能ですが、パソコンから印刷しただけでは法務局の押印が無いことから公的な書類として扱われません。
原本が必要となれば法務局まで足を運ぶ必要があるため、コピーでも問題ないのか原本が必要なのか事前に確認が必要です。
法人名義での契約の場合ほとんどの物件が提出必須となっています。
上場企業であれば提出不可にできる場合もありますが、基本的には提出を求められる項目だと認識しておくのがよいでしょう。
できれば可にしておくのがオススメです。
契約書に実印の押印が必要になった際、正式な印鑑なのかを確認するための書類です。
こちらはどの物件も必ず……ではなく、管理会社から「契約書には実印を押してください」と指定があった場合のみ併せて用意します。
決算書は企業の利益と損失が記載されているため簡単に提出できる書類ではありませんが、家賃を支払う資力があるのかを確認するために必要です。
賃貸借契約においては“信用”が大事になってきますので、こちらもできるだけ提出可にできると手続きがスムーズにいきます。
こちらは会社ではなく代表個人の印鑑登録証明書です。
正式な印鑑か確認してもらうために用意しますが、他の書類と比べると提出する機会は少ないです。
個人の印鑑登録証明書を用意するのは代表者が連帯保証人に設定される場合です。
『連帯保証人承諾書』には実印での押印を求められるので確認のために併せて用意する必要があります。
そのため連帯保証人を入居社員本人に設定したり、保証会社のみと定める場合は必要ありません。
※保証会社/連帯保証人の設定については~契約編~ ⦅5⦆ 保証会社/連帯保証人もご参照ください
書類の用意にも手数料がかかる上、「会社謄本は原本のみ」などと決まりがあれば法務局へ足を運ばないといけません。
社宅数が多いほど手間も時間もお金もかかり書類の用意だけで圧迫されてしまいます。
提出不可にすれば社内の業務削減に繋がりますが、かといって全ての書類を完全NGにしてしまうと契約できる物件が極端に少なくなる恐れも……。
できればどの書類も用意できるのがスムーズですが、提出できるラインは企業によって異なるので慎重に設定していきましょう。
入居者関係
提出を求められることが多い書類4項目
審査では入居者本人の身元等を確認されます。
ほとんど本人が準備しなければいけない書類なので、何が必要なのかを定め「契約時にこれが必要になりますよ」とあらかじめアナウンスしておくとスムーズに手続きできます。
身元を証明するためにまず必要な書類です。
入居者本人に準備してもらう必要があるので事前にお知らせしておきましょう。
代表的なものが免許証、パスポート、顔写真付きの住民基本台帳カード、マイナンバーカードなど。
「証明書になるものが何も無さそう」という場合は早めに管理会社にご相談ください。
健康保険証では所属先を確認します。
事業所名が書いていない場合もありますが、組合の確認はできるのでこちらも忘れずにご用意ください。
ちなみに健康保険証はあくまで在籍証明が目的なので「身分証:不可、健康保険証:可」だと身元確認は厳しいです。
「法人契約なのだから入居者情報はあまり関係ないのでは?」という理由で不可にしている企業もあります。
しかし物件を管理している側からすると“どんな人が入居するのか”を知ることで安心して貸与することができるため、基本的にはやはり提出可が望ましいです。
万が一建物内で問題が発生した場合、入居者の顔が判明していないと管理会社は「入居者なのか不審者なのか」が判断できず対応が遅れてしまう可能性が考えられます。
特別な理由が無い限りは提出可にしておくのがオススメです。
市役所に直接出向くか申請書を郵送して準備する場合は時間がかかるので、くれぐれも提出指定日に遅れないよう入居者に注意を促しましょう。
マイナンバーカードを持っていればコンビニで取得することが可能です。
「身分証明書が提出できたら不可にしていい?」と思われがちですが、住民票ではないといけない理由がいくつかあります。
まず日本国内に住んでいるか、申込書の住所と相違ないか?の確認です。
住民票は“市役所が発行している上位の身分証明書”なので、運転免許証等よりも信憑性があると判断されます。
以前にも引越しをしたことがある場合、転入/転出/転居の手続きをせず昔の住居のままにしている方がたまにいますが、理由なく住所を移していないと審査での心証が悪くなるのでご注意ください。
独身なのか家族がいるのかで入居人数も変わるため、正確な世帯人数を確認します。
社宅利用で「1人入居」と申請しても住民票で「配偶者有、子2人」と記載があれば当然事実確認が必要です。
また、多くの社宅では家族以外での2人入居はNGとされていますので、“配偶者”の記載で婚姻関係にあるかを確認されます。
入居申込書では「渡辺」と記載したけれど、正確な表記は「渡邊」だった──こんなケースはよくあります。
住民票が最も正確な表記になるため、申込書と照らし合わせて内容に誤りが無いか確認しています。
入社前の方は保険証や社員証を持っていないため、代わりに内定通知書を提出します。
企業の人間であると証明する書類なので社宅規定では提出可にしておきましょう。
前述した[代表取締役の印鑑登録証明書]と同じで、今回は入居者本人が連帯保証人となった場合に提出します。
申込の段階になって「連帯保証人になるのはいいけど印鑑登録してないよ?」と判明することがありますが、この場合登録から手続きが必要です。
原則本人が市役所窓口に出向くこと、登録に数日を要する事からできるだけ早めに動かなければなりません。
こちらも住民票同様、提出指定日に遅れないよう入居者に注意を促しましょう。
[入居者本人を連帯保証人にすること]を可とし、[入居者本人の印鑑登録証明書を提出させること]を不可とすることはまずできません。
たとえ法人契約の場合でも連帯保証人を設定すれば印鑑登録証明書は必要です。
社宅規定で矛盾が発生しないようご注意ください。
社宅制度の土台となる社宅規定。
今回は管理会社から提出を求めれられる書類を挙げましたが、まだまだ設定を検討するべきものはたくさんあります。
トラブルを防ぐためには、業種特有の事情や、企業様の実情、それに社宅探しをする地域の特性などを考慮し、公平かつお部屋探ししやすい規定を目指すことが大事ですが……自社内だけで決めていくのは難しいものです。
プレニーズではこうした「社宅規定の策定」に関するご相談も受け付けております。
社宅規定に関してお困り事のある企業様、不動産会社視点の意見を取り入れたいご担当者は、この機会に規定を見直しを行ってみませんか?
コンサルティングは無料ですので、気になる点がありましたらお気軽にお問い合わせください!
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