「どんな部屋を借りるべき?」社宅規定の作り方~お部屋探し編~

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「どんな部屋を借りるべき?」社宅規定の作り方~お部屋探し編~

社宅制度を快適に運用するためには、土台となる社宅規定を慎重に定める必要があります。

  • 賃料は上限〇円、広さは〇㎡までの部屋にしてください
  • 既定の範囲内なら借上げ社宅として認めます

とお願いすることになるため、明確な基準が無いと制度が曖昧になってしまうためです。

こんな規定は助かる!

  • 部屋探しで多くの物件がヒットする
  • 社員の待遇を考慮してくれている
  • 項目の制限が少ない

こんな規定は改善しよう!

  • 会社都合しか反映していない
  • 制限が多く部屋がほとんどヒットしない
  • 規定に不公平感がある

しかし現実には・・・

  • 何を設定したらいいかわからない……
  • 他の企業はどんな項目を盛り込んでいるんだろう
  • どうしてこの項目を設定する必要があるの?

と気になっている御担当者様もいらっしゃるかと存じます。

そこで今回は社宅規定を定めるのに押さえておきたい項目と、なぜその項目を設定する必要があるのか?その理由をご紹介します。

 

企業がよく制限している項目

 ─ 目次 ─

   企業がよく制限している10項目   

以下に基本の10項目を並べました。地域や業種によって実情が異なりますが、これらが一般的に多い制限です。

⦅1⦆賃料上限と割合

賃料は会社負担になるので、まず検討するべき最重要項目といえるでしょう。

ここでは<賃料の上限><会社が負担する割合>を合わせて設定する必要があります。

どうして設定が必要なの?

【理由1.】この設定には会社の都合ばかりではなく、社員間の不公平感を減らす目的があります。
以下のパターンで比較してみましょう。

条件<Aさん:家賃12万円の部屋を契約><Bさん:家賃6万円の部屋を契約>

社宅規定 Aさんの
会社負担
Bさんの
会社負担
①<上限10万円>だけの場合 10万円 6万円
②<上限2万円>だけの場合 2万円 2万円
③<会社の負担割合50%​​​​>だけの場合 6万円 3万円
④<上限10万円>かつ<会社の負担割合50%​​​​>の場合 5万円 3万円

はBさんが全額会社負担となっており、給与(現物支給)とみなされ課税の対象となります。
手続きが増える上にBさんの給与も減ってしまうので、<上限だけ>の設定をするのは得策ではありません。

こちらは一見公平なように見えますが、逆に本人負担で考えるとAさんが10万円、Bさんが4万円となり、Aさんにとって不公平感が生まれます。
上限が低いため社員負担が多くなってしまうこともネックです。

だとAさんの方が会社に負担してもらえる額は大きく、負担額に差が出て不公平感が生まれてしまいます。
「家賃高い方が得じゃん!」と不必要に高い家賃の部屋を契約してくる社員も現れるかもしれません。

のように合わせて設定をすると<上限10万円の範囲内は会社負担50%、超えた分は社員負担>となりバランスがとれます

Aさん → 家賃のうち上限内の10万円から50%=5万円を負担してもらえて、上限を超えた2万円は自己負担
Bさん → 上限内の家賃なので、6万円の50%=3万円を負担してもらえる

Aさんは自己負担を払って好きな部屋に住め、Bさんも不公平感が少なくなります。

【理由2.】敷金・礼金・仲介手数料といった費用は<家賃の〇ヵ月分>と設定されているため、家賃が高いとこうした初期費用の支払い費用も高くなってしまいます。

初期費用は会社負担とする企業様が多いため、家賃の上限はできるだけ抑えて設定したいところです。

⦅2⦆勤務先までの距離

物件から勤務先までの距離を設定します。

よくあるのが「2kmの範囲以内」と数値で決めるやり方で、他に「最寄駅から3駅以内」「〇〇橋(会社近くにある目印)を境としてその内側のエリア」といった設定です。
いずれも勤務先から離れすぎないように定められます

どうして近場が良いの?

【理由1.】自宅が遠ければ交通費の支給が必要になるためです。
そもそも社宅の賃料を会社負担としているのに、そこに交通費まで加えてしまうと会社負担ばかりが大きくなってしまいます。

【理由2.】特に保守系や報道関係の企業では、有事の際迅速に動ける環境に身を置いている必要があります。「トラブルが起きたからすぐに来て!」と呼び出され1時間かけて出社する……という事が厳しい世界です。
そのため社員にはできるだけ勤務先から離れていないエリアでお部屋探しをしてもらうことになります。

⦅3⦆間取り・広さ

借上げ社宅は1人入居の方が多いため「​​​​​1K」「1LDK」あるいは「40㎡以内」といったコンパクトな設定をする企業が多いです。
「本人負担が増えても広い部屋に住みたい!」と希望する方も出るかと思いますが、できるだけ入居人数に見合った上限設定をしておくのがオススメです。

広すぎはNG?

これには退去時の原状回復費が関わります。
壁紙や床の張替はお部屋の広さに対して支払額が決まるので、あまりに広い部屋だと原状回復費がかさみます。

できるだけ支払い費用を抑えるためには広さも上限を設定するのが良いでしょう。

⦅4⦆築年数

築年数はあまり厳しくする必要はなく、「築30年以内」と10年単位で設定するか、「新耐震基準のみ」とざっくりした基準を設けます。

年季の入った物件は危険!

日本は地震の多い国ですから耐震基準を一つの目安にすることは大切です。
ハザードマップとも照らし合わせて危険区域を把握できると社員の身の安全を守ることに繋がるでしょう。

⦅5⦆建物構造

マンションなら鉄骨・鉄筋、アパートは木造の建物が多いです。
どの構造でもいいのか、あるいは防災面を考慮してどこかで線を引くのか判断をします。

木造を選択しない企業が多い?

【理由1.】一般的に木造物件は地震や火災に弱い造りです。
耐火使用の木材を使用したマンションも徐々に建てられていますがまだまだ主流とは言えず、リスクがあることから火災保険料も高くなるのでNGとされることが多いです。

【理由2.】鉄骨造の建物と比べると防音にも不安があるので、近隣住民とのトラブル防止の観点から企業はあまり木造を好みません。

⦅6⦆階数制限

契約するお部屋は「何階以上」ならいいのか?それとも階数制限は付けないのか?を設定します。
後述の1階NGにも繋がる項目ですが、「3階以上」「4階以上」と中層階を設定する場合もあります。

地域によっては重要項目

水辺や山の近くに建つ物件では自然災害に見舞われるケースが考えられます。
土砂災害や浸水は低層階の方が被害が甚大になるため、できるだけ上層階を選択してもらうと安全です。

しかし中層階以上で制限を付けるとヒットする物件が途端に少なくなってしまいます。
周辺環境を調査して安全な地域だと判断出来れば厳しく設定する必要はないでしょう。

⦅7⦆1階はNG

階数制限でよくあるのがこちらの項目です。
社宅規定に無くとも、本人希望により1階NGでお部屋探しをする事も多いのではないでしょうか。

企業としても理由は同じ

【理由1.】やはり防犯面が一番の理由です。
社宅である以上社員の身の安全を守る義務がありますから、企業も防犯面には慎重になります。

【理由2.】1階では⦅6⦆であげたような災害に見舞われやすい事や、上層階に比べ虫が湧きやすい事も懸念されます。
さらに上にも部屋があること、道路が近いことから騒音被害も考えられるでしょう。

ちなみに都心で同じ条件だと表記が「2階以上」になりますが、地域によって「2階建てアパート/マンション」が主流で建っている場合「1階NG」という設定の方が通じやすいです。

⦅8⦆同居人

社員本人しか入居できないのか、同居人も認めるか?の判断です。

もし同居人を許可する場合は「婚姻関係にあるならOK」「家族のみ」「3親等以内」といった要素も追加で設定します。
友達やただの恋人関係だと“社外の人間”という要素が強くなる上、関係がこじれた場合簡単に退去されてしまうことに繋がるため入居を許可している企業は少ないです。

「社員のために」用意された部屋

お部屋は会社名義で契約して、社員のための福利厚生として賃料を負担しています
そこに(言い方を厳しくすれば)全く関係のない人が住んでしまうと、企業としては「自社に無関係な人の生活を補助する義理は無い」「社外の人間が出入りするのはトラブルの元では?」となるのです。

借り上げ社宅よりも自社保有寮でイメージするとわかりやすいかもしれません。
会社保有の寮に社外の人間が出入りすることは好ましくありませんよね。それはマンション1室になっても同じことです。

しかし完全NGにすると利用できる社員が少なくなるため、多くの企業が「家族のみOK(住民票要提出)」にしています
「婚姻関係にあるならOK」の場合は虚偽の申請を防ぐため「ただし6ヵ月以内に入籍すること、入籍しない場合は退去(あるいは個人名義に変更)」と条件設定しておくと安心です。

⦅9⦆禁煙部屋のみ可

近年では多くのお部屋が室内禁煙で入居募集をかけており、本人希望でも条件にする方は多い項目でしょう。
企業の都合を鑑みても、「禁煙部屋のみ」は設定した方がよいとされています。

企業も社員もトラブル防止に

【理由1.】室内で禁煙すると壁紙が汚れたり臭いが染み付いて原状回復費がかさみます
会社負担を抑えるために禁止にしておくと安心です。

【理由2.】タバコの臭いやゴミのポイ捨て問題は、他の入居者からの苦情によりトラブルに発展してしまうことがしばしばあります。
寝タバコから火災が発生することも無いとは言い切れないので、事前に禁止事項として盛り込むのが得策です。

なお「電子タバコならバレないでしょ」「ベランダは“室内”じゃないから吸っていいよね」と個人の判断で喫煙する方もいますが、いずれも規約違反となり最悪退去を命じられることもあります
禁煙部屋のみとする場合はくれぐれも違反の無いよう入居社員に注意を促しましょう。

⦅10⦆ペットの飼育

以前は禁止にする企業も多かったのですが、近年では“ペットも家族の一員”という認識が高まっているので許可を出す企業が増えています

とはいえ会社負担で費用を出すためある程度は線引きするべきでしょう。

ペットを飼育するとリスクがある?

【理由1.】何度か理由に挙げましたが、ここでも原状回復費が関わります。
無臭の生き物は少ないためどうしても独特の臭いが付きますし、犬や猫の場合は壁をひっかく、床を傷つけるといった心配もあるためです。

【理由2.】一般的にペット可の物件には敷金が上乗せされます。
「飼育しなければ敷金1ヵ月ですが、もし飼育するなら2か月払ってください」と初期費用が高くなるので企業にはあまり好まれません。

【理由3.】ペットの鳴き声、部屋を走り回る足音、臭いなどを理由に近隣住民から苦情が入ることも考えられます。
トラブルを避けるために一律で禁止にする場合があります。

また、特に地方ではペット可の物件は少なく、もし“可”でも「小型犬限定」「金魚小鳥のような小動物限定」のように条件付きの場合が多いため注意が必要です。
規定で完全禁止にした場合、社員が社宅利用できなくなる可能性もあります

もし条件を全てクリアできなかったら?

「どうしても入居したい物件があるのに、規定に添っていない」
こんな場合は特例で契約を認める事を可能にしておくと、社員から不満が出にくくなります。

特例を認めるケース

よくあるのが『ペット可』を重視するケース。
「既に犬を飼っているのでどうしてもペット可の物件がいい
しかし広さの規定が『40㎡以内』のところ、最低でも『50㎡』の物件しか出ない……」といった場合です。

中には「距離が範囲外だけど気に入った物件が出てきた、ここじゃなきゃ嫌だ!」と単に好みの物件に住みたいという理由もありますが、これに特例許可を出すかは企業ごとの判断によります。

認める場合には条件が付くことも

特例として規定の範囲外の物件を認めた場合、利用規約に一文付け加える場合があります。
『ペット可』を重視するケースがわかりやすいのですが、「特例を認める。ただしペットを飼うことによって上乗せされる敷金(あるいはペットの飼育を理由に生じた原状回復費用)を社員負担とする」と記載するのです。
社員は希望物件に住めるし、会社の負担も大きくならないので双方に効果があります。

なんでも特例を出していいの?

とはいえ社員から望まれるままに頻繁に特例を出すと……

  • 規定の意味が無くなる
  • 社員間で「自分はちゃんと規定内で探したのに、特例なんてずるい!」と不公平感が生まれやすくなる
  • 一度前例を作ると、次回同じ要望が出た際に却下できない

などなどトラブルの元となります。

「規定は守ってほしいが、縛りすぎも良くないので特例も認めてあげたい」ならば、特例に関する規約も事前に設定しましょう。

<特例を許可する条件 例>

  • 規定内で探すとヒットする物件が5件未満で、選択肢が極端に少ない場合
  • ペット、あるいは同居人がいる場合のみ緩和
  • 希望は受け付けるが、総務部長など決裁権を持つ者の許可を必要とする

規定を作るのは楽じゃない!

社宅制度の土台となる社宅規定。
今回は基本の項目を挙げましたが、まだまだ設定を検討するべきものはたくさんあります。

トラブルを防ぐためには、業種特有の事情や、企業様の実情、それに社宅探しをする地域の特性などを考慮し、公平かつお部屋探ししやすい規定を目指すことが大事ですが……自社内だけで決めていくのは難しいものです。

プレニーズではこうした「社宅規定の策定」に関するご相談も受け付けております。
社宅規定に関してお困り事のある企業様、不動産会社視点の意見を取り入れたいご担当者は、この機会に規定を見直しを行ってみませんか?

コンサルティングは無料ですので、気になる点がありましたらお気軽にお問い合わせください!

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