社宅管理ご担当者様のもとには、日々さまざまな問い合わせが寄せられているかと存じます。
「○○の手続き、どうすればいいですか?」
「××の費用は自分が負担するんでしょうか」
「書類の書き方がわからなくて……」
こういった問い合わせは、まず内容を確認して、その場で回答することになります。無事に解決すればひとまず一件落着です。
しかし少し時間を置いて振り返ってみると、「この質問、前にもあったな」と感じることはないでしょうか。もし同じような問い合わせが繰り返されているなら、そこには社宅運用を見直すヒントが隠れているかもしれません。
今回は社員様から寄せられる声を日々の社宅運用に活かしていく、フィードバックマネジメントについてご提案させていただきます。

─ 目次 ─
「問い合わせ」は改善のチャンス
フィードバックマネジメントとは
─ 実践1.どんな声が寄せられているのか知る
─ 実践2.「不満」の背景を考える
─ 実践3.集めた声から「よくあること」を探す
─ 実践4.気づいたことを実際の改善へ
「公平に対応する」と「柔軟に対応する」のバランス
─ 現場にあった運用方法を目指しましょう
─ 結果的に、社宅担当者の負担軽減にも
まとめ|より良い社宅制度の運用を目指して
社員様からのお困りごとのお問い合わせがあった際、対応が終われば「解決済み」として流してしまってはいないでしょうか。
せっかく伝えてくれた「利用者が困っていること」を、その場だけの案件として終わらせてしまうのはもったいないです。もし複数名から同じ質問がくるようなら、そこには必ず改善すべき点が隠れています。
申請方法について何度も質問されるなら▼
制度を理解していないのではなく、案内の仕方が分かりにくいのかもしれません。
費用についての問い合わせが続くなら▼
「なぜこの費用が発生するのか」が十分に伝わっていない可能性もあります。
「また同じ質問だな」という感覚は、社宅管理のご担当者様だからこそ気づける小さなサインです。「よくある質問」で終わらせず見方を変えてみると、そこから改善のきっかけを掴めるかもしれません。
ここで活用したいのが、問い合わせを収集・分析して改善に繋げていくフィードバックマネジメントという考え方です。基本は次の4点を繰り返します。
大がかりなシステムを用意する必要はありません。
来た問い合わせをメモして、いつでも見返せる状況にするだけでも、後から思わぬ傾向が見つかることがあります。
まずは日々どんな問い合わせが来ているのかを把握するところから始めてみましょう。メールや電話での問い合わせだけでなく、雑談のなかの何気ない話題もヒントになります。
例えば、
「こんなことまで記録する必要があるのかな」と思うような小さな問い合わせも、残しておくと役に立つことがあります。後々「この質問、意外と多いな」「毎年〇月あたりになると××の問い合わせが増えてる」といった「気づき」を拾える状態にしておくことが大切です。
不満や要望が寄せられたとき、一歩踏み込んで、「なぜ、この声が上がったのだろう?」と考えてみましょう。
「退去費用が高すぎる!納得できないから支払いません」という声があった場合、本当に"金額が高すぎること"そのものが問題なのでしょうか。もしかすると、費用が発生する理由を十分に説明できていなかったのかもしれません。
「そんなルールは聞いていない!」という声も、制度そのものに不満があるのではなく、案内の資料が分かりにくかったことが原因かもしれません。
原因が分かれば、必要なところに的確な手を入れることができます。
問い合わせがある程度たまってきたら、内容をざっくり分類してみましょう。「新規契約」「解約」「更新」「費用関係」「入居中の相談」「社宅規程」など、ご担当者様が見てわかる程度の分類で十分です。
といった傾向が分かってくれば、それだけで改善のヒントになります。
「どこから手をつけよう?」と迷ったときも、問い合わせの多いor少ないがわかれば優先順位をつけやすいです。まずは「どんな問い合わせが多いのか」に気づくことも、立派なフィードバックです。
「改善」というと制度を大きく変えたり、新しい仕組みを導入したりすることを想像するかもしれませんが、必ずしもそうする必要はありません。いまの体制でできることだけでも十分です。
こうした小さな変更でも同じ問い合わせを減らせたり、社宅手続きがスムーズになります。

フィードバックマネジメントは大切ですが、大前提として社宅制度には企業として守るべきルールがあります。そのため社員様から要望があったからといって、すべての要望に対して個別に対応すればよいというわけではありません。
一人だけ特別な対応をすれば、今度は「なぜ自分は対象外なのか」と不公平に感じる人が出てくる可能性もあります。
一方で、ルールを厳格に適用することだけを優先すると、実際の利用の実態と制度との間にズレが生まれることもあります。
このバランスは、ご担当者様にとって悩ましいところではないでしょうか。
上がった声をそのまま処理するのではなく、「ルールだから仕方ないこと」と「運用体制の問題点」は切り分けて考えるのが望ましいです。
また、「ここまではルールで統一する」「このケースなら、一定の範囲で柔軟に対応する」といった線引きができると、現場の手続きがよりスムーズになります。社員様の声をきっかけに、制度の公平性を保ちながら、現場に合った運用ができているかを見直してみるのもよいでしょう。
フィードバックを活用すると、社員様にとってだけでなく、ご担当者にとっても嬉しい変化があります。
よくある質問をあらかじめ案内しておけば、社員様へ同じ内容を何度も説明する必要がなくなる。
過去の対応事例を残しておけば、ご担当者様が変わったときにも対応方法を参考にできる。
どこの手続きで困る人が多いのかが分かってくれば、案内を作り直せる。
ひとつひとつは小さな工夫でも、積み重なっていけば「またこの質問に回答しないと……」というご担当者様の負担を減らすことにつながります。
フィードバックを活用するメリットは、社員様のために始めた改善が結果的にご担当者様自身の業務を助けてくれることなのです。
問い合わせはその場で解決すれば終わりではなく、社宅運用を見直すための材料でもあります。
声を集め、背景を考え、傾向を整理し、小さな改善につなげる。
この繰り返しが日々の運用を少しずつ良くしていきます。
公平性を保ちながら、現場の実態に合わせて柔軟に対応する。そのバランスを探ることが、結果的に社員様の納得感と、ご担当者様自身の負担軽減の両方につながっていくはずです。
社員様から寄せられる声を、ただ「対応して終わるもの」にせず、これからの社宅運用を考えるきっかけに。
日々の小さな気づきを活かすことが、社員様にとっても、ご担当者様にとっても、より良い社宅制度につながっていくのではないでしょうか。
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