先日株式会社ブランド総合研究所が作成する『都道府県魅力度ランキング(地域ブランド調査2021)』が発表されました。
上位陣は人気・知名度どちらも高い県が並びましたが、北海道が13年連続で1位を獲得。
伸び率では千葉県が若者世代から指示を得て、昨年の21位から12位に浮上する大躍進!といった変化もありました。
皆さんの注目していた都道府県はどんな結果だったでしょうか?
地域の魅力は「有名な観光スポットがある」「移動手段が豊富で動きやすい」「街の美化に力を入れている」など様々です。
そこで今回は『働きやすさ』に焦点をあてて都道府県を見ていきたいと思います。
初めて社会人になる方も多い20代。
いきなりブラック企業にはあたりたくないし、かといってどんな仕事が自分に向いているのかもまだ分かりづらい時期です。
そのなかではやはり「仕事と生活のバランスが取れている」「自治体の取り組みがしっかりしている」などの安心材料があると支持を得やすい傾向にあるようです。
近年はフレキシブル制やテレワークといった制度も浸透し、世の中全体で働き方にも変化が起きています。その変化の中心ともいえる世代ではどんな地域が人気なのでしょうか?
企業口コミ・給与明細サイトの「キャリコネ」が2019年に発表したランキングによると、
1位 愛知県
2位(同率) 愛媛県、長野県
という結果に。それぞれの結果を掘り下げてみましょう。
世界的な自動車メーカー「トヨタ自動車」のある豊田市や、観光でも人気の高い名古屋市を有する愛知県。
《変化を恐れるな Let’s 働き方改革!》をスローガンに掲げて、自治体・企業・労働局が協力して取り組みを進めています。
愛知労働局では「働き方・休み方改善コンサルタント」を設けており、
「魅力ある職場づくりに向け、働き方改革の事例を知りたい」
「賃金・退職金制度の整備・改定を行いたい」
といった企業からのお悩み相談も受け付け。企業へのサポートもしっかりしています。
(参考:愛知労働局『愛知の働き方改革』)
日本の都市特性評価ランキングでも、138都市中なんと名古屋市5位、豊田市15位と高評価!
さらに「研究・開発」の分野では名古屋市が1位を獲得しており、「経済・ビジネス」の分野では2位~4位を愛知県の都市が占めるなど安定した評価を得ています。
同率2位には愛媛県がランクイン。
2018年に《愛媛県働き方改革包括支援プラザ(働ナビえひめ)》を開設して、労働局や関係機関と連携して企業を支援。
2020年には県庁で《新しい働き方チャレンジ宣言》を出しており、デジタルを活用した新しい働き方スタイルの構築を行っています。
など、若い世代が求めている“時代に合った取り組み”がなされており、県のトップとして率先して動く姿勢も支持を得たのかもしれません。
(参考:愛媛県庁『愛媛県庁における働き方改革の取り組みについて』)
日本の都市特性評価ランキングでは県庁所在地の松山市が138都市中28位にランクイン。
分野別で見てもそれぞれ60位以内にランクインしており、一か所だけ突出するのではなくどの分野でも平均以上の評価をとれる街です。
そして同率2位、もうひとつは長野県。
長野では「仕事と家庭の両立ができる職場環境の改善や雇用の安定を進め、短時間正社員制度等の多様な働き方制度を導入・実践する企業」に対して《職場いきいきアドバンスカンパニー》を認証する取り組みを2015年から続けていました。
2021年10月からは制度を改定し、
1.ワークライフバランスコース
様々なライフスタイルやニーズに合わせた働き方をする
2.ダイバーシティコース
多様な人材を活かし、イノベーションを生み出している企業を認証
3.ネクストジェネレーションコース
若者や氷河期世代の育成に積極的に取り組む企業を認証
と3つのコースを整備。
認証されると企業は様々な優遇措置を受けられるほか、ハローワークにも認証済と表示できるようになります。求職者から見ても優良企業と判断しやすく、双方から見てわかりやすい指標です。
(参考:長野県庁『職場いきいきアドバンスカンパニー認証企業のご案内』)
日本の都市特性評価ランキングでは松本市が9位、長野市が16位と、エントリーした2都市がいずれも上位にランクイン。
「生活・居住」の分野では平均寿命・健康寿命、医師の多さといった項目でスコアを伸ばしました。
松本市では完全失業率や対事業所サービス従業者割合の項目でも高い評価を得ており、経済力と生活環境のバランスの良さが伺えます。
こうして上位3県を見てみると、どの県でも共通しているのは“働きやすい職場づくり”に積極的に取り組んでいるということ。
リモートワークやデジタル技術の導入をして効率良く業務をこなせるようにしたり、企業に任せっきりにするのではなく行政や地域が一体となって活動していたり……と、様々な対策が取られています。
“働きやすさ”と聞くと
などにまず目が行きがち。
もちろんこういった項目も大切ですが、現代では“働きやすさ”で重視されてきているのはプライベートとのバランスです。
長野県の《職場いきいきアドバンスカンパニー》のコースがわかりやすい例です。
こちらでは『ワークライフバランスコース(様々なライフスタイルやニーズに合わせた働き方をする)』が設けられています。
「父親が仕事で母親が専業主婦」が当たり前だった時代はとうの昔になり、IT技術が進化する中で新しい仕事も増え、世間ではいろんな事情を抱えた人たちが生活を続けています。
そんな中で一つの働き方に縛られることなく、「自分に合ったやり方」を見つけられるのはとてもありがたいですね。
また、『ダイバーシティコース(多様な人材を活かし、イノベーションを生み出している企業を認証)』を会社で取り組むと、そこで働く人たちの意識は必ず変化していきます。
「世の中には色んな考えの人がいる」
「年齢も性別も国籍も関係ない、たくさんの人と関わろう」
そんな意識が生まれてプライベートでも多様性を受け入れられるようになれたら素敵です。
人が健康的に活動するためには仕事と生活の両面のバランスが大事。
求職活動の際には企業の情報をしっかり確認するのはもちろんの事、その企業の属する地域がどんな「働きやすさ」への取り組みを行っているかも調べてみるとよいでしょう。
<本コラムの関連記事>
★どんな都市に住みたい?注視するべき「街の特性」とは
★都市戦略研究所『日本の都市特性評価』
サービス・製品に関してお気軽にお問合わせください
© 2020 pleaneeds CO., LTD