社員にとって、自社保有寮に住むことのメリット

第一に、自分で借りるより安く抑えられることがが、最大のメリットです。
社有社宅（寮）は、法人名義で土地や建物を購入したり、建設しますが、多大な資金が必要となるため、一棟をまるごと社宅にすることから大手企業が保有しています。

若年層にとっては、地域相場よりずっと安い賃料で、生活することができるのですから、多少のデメリットがあっても住み続けたいと思うことでしょう。

借り上げ社宅の場合は、一般の賃貸物件を法人契約として借り上げ、社員に貸し出しています。
契約は法人名義でも、物件自体は社員自身が探す方法をとっている企業が多く、不動産ポータルサイトや実際に街の不動産会社に出向き、社宅規定に沿って探さなければいけないため、大変です。
支出の中で最も大きい住居費を会社が負担してくれる制度なので、社員様にとって多少の部屋探しの手間は問題と感じないかもしれません。

しかし、様々な企業様からお話を聞くと、社員様が部屋探しを行う際、トラブルが発生している、もしくは満足度が高くない場合もあるようで、詳細はこちらのコラムでご説明しています。

入居率の低い社員寮・独身寮によくある問題

社員寮があるにも関わらず、あえて寮に入らないという選択をする社員も存在します。
前述したとおり、社員寮は出費を抑えられる最大のメリットがあるにも関わらず、自社で保有している独身寮の入居率が低い場合、なにか課題があることが考えらるのではないでしょうか？

住宅関連の福利厚生制度として、借り上げ社宅が一般的に浸透しているため、旧来の団地に近い社宅…のような、一棟に同じ企業の社員が生活する独身寮を好まない社員もいます。
社員が独身寮や社員寮に入寮しない、問題点を具体的にあげていきましょう。

勤務先から近過ぎる、または遠いため入居したくない

一般的に独身寮や社宅を建てる企業は、社員の通勤時間を抑えるため、勤務先から比較的近い場所に寮を建てます。
企業様によっては敷地内や隣接地に寮があるケースも多くあります。
そうすると、プライベートとの境目が無くなってしまうため、若い社員には敬遠されてしまうのです。

首都圏に本社がある企業様の場合は、建築コストを抑えるため、通勤に１時間近くかかる場所に建てている場合があります。
その場合、毎朝、通勤ラッシュにもまれるのが嫌なため、自分で勤務先の近くに賃貸住宅を借りるのです。

ペットを飼えなくなるので入居しない

近年では、ペットの飼育が可能な賃貸物件も増えていますので、種類を問わず、一人暮らしでペットを飼っている人がいます。
一般的に社員寮の場合は、ペットの飼育が不可と規則で定められている場合が多く、ペットが理由で入居を諦めてしまいます。

一方、借り上げ社宅制度を運用中の企業様は、ヒーリングアニマルとしてのペットの飼育を認めているところもあるようです。（但し、ペット飼育により発生した、原状回復費は社員負担と定めている場合があります。）

社宅規定が厳しい、プライバシーの問題

社員寮に入寮することは、会社内での人間関係が築きやすいとされる半面、同じ建物内に住むことで他の社員と頻繁に会ってしまうため、仕事とプライベートをしっかり分けたい、と考える人には、社員寮イコール社員同士の交流が多い、つまり、自分のプライベートを保つことができないのでは？と考えてしまいます。

また、友達や恋人を呼ぶことを禁止している、門限があるなど、寮独自の規則を設けている企業もあります。
当然ながら、個人での賃貸借契約にはない規則があるため、生活に不自由さを感じている可能性も否定できません。

築年数が古いため、設備に不安がある

コロナ禍で企業のテレワーク、在宅勤務化が進み、自宅にいる時間が増えました。そのため、在宅率が上がり、快適な住環境を意識した部屋探しをする人も多くなっています。

しかし、築年数の経過した社員寮の場合、建物の構造上、壁が薄いなど、防音性の低い自室での業務に集中ができないとストレスが発生します。
社員の精神面はもちろん、業務的にもマイナスになってしまいます。

設備面でも、一般の賃貸物件であれば、退去時にメンテナンスやリフォームされますが、自社で寮の管理をしている場合、担当者様が頻繁に手入れができないため、設備に不具合が生じていることがあります。
例えば、エアコンが古いため、夏は蒸し暑く、冬は隙間風も相まって、寒い。そんな状態では、快適に過ごすことはできませんよね。

社員寮に入居する社員が考えるデメリットからわかること

入寮しない理由からわかるように、社員寮の入居率が低い企業様は、様々な理由が考えられます。
昔なら、”安く住めるから”という理由で、入居していた若手社員が、仕事とプライベートをしっかり分けたいと考えたり、生活の質をあげたい、という理由で、社員寮には住みたくないという事情があるようです。

多少賃料が割高になっても、個人契約で部屋を探したいと考えて社員寮に入らない。
自由に好きな間取りの部屋を選んで住めるので、借り上げ社宅を利用している社員を羨ましく思っているかもしれませんね。

次のコラムで、寮管理を担当者様側の問題点をあげていきたいと思います。