不動産にかかる費用は売買代金、仲介手数料、敷金・礼金、お部屋のクリーニング代など様々ですが、消費税がかかるかどうかはその項目によって異なります。
では賃貸借において欠かせない「家賃」に消費税はかかるのでしょうか?
結論から言うと基本的に家賃に消費税はかかりません。その内容を詳しくみていきましょう。
賃貸借物件のうち居住用の物件に関しては消費税がかかりません。
現在賃貸借物件にお住まいの方は契約書を読み返していただければ、消費税無しの金額が記載されているはずです。
ただし居住用でも貸付期間が1ヵ月未満の場合は消費税がかかります。
賃貸借物件でも事業用として賃借する場合は課税対象です。
借主が法人か個人かは関係なく用途で判断されるのでご注意ください。
もともと消費税が日本でも導入されたばかりの頃は家賃も課税対象でした。
この頃に賃貸物件を契約していると3%の消費税が発生していたんですね。
それが平成3年の社会政策で家賃は非課税になりました。
そして現在も住宅の家賃は非課税のままです。
令和5年5月時点での法令によれば、非課税対象となるのは以下2通り。
土地、敷金等の預託金、印紙代など
住宅の家賃、医療費、学校の授業料など
住宅の家賃は(2)のように「社会政策上、配慮が必要がされるもの」に該当するため非課税が望ましいとされています。
多くの物件は用途が「居住用」なのか「事業用」なのかはっきりしているので、家賃の課税/非課税の判断も簡単です。ですがなかには用途が明らかになっていない物件もあります。
その場合は状況判断になり、たとえば個人契約で生活設備を整えているなど明らかに人の住処として利用しているのなら「居住用=家賃は非課税」です。
では契約書の用途欄が「居住用」と記載されているのに、実際は「事務所」として利用していたらどうでしょう?
この場合原則として「契約書」で判断します。
契約上「居住用」と明記されていれば「居住用」の判定です。
ただし法人の拠点としてWEBなどで紹介する、法人登記をする、顧客の出入りが激しくなるなど「事務所」として利用しているのが明らかになる場合は事業用とみなされ課税対象となります。
さらに貸主に無断で行っていた場合は信頼関係の欠如とみなされ、退去または違約金の支払いが発生する場合もありますのでご注意ください。
借主は法人ですが、実際は個人(社員)が住居として使用しているので非課税です。
中で仕事をしていてもあくまでそこが自宅であることが前提なので、この場合も家賃は非課税です。
余談ですが会社から「テレワーク手当」等の名目で金銭が支給されている場合、給与とみなされるのでこの手当は課税対象となります。
一応事務所として利用することは認められていますが、SOHOは原則法人登記できず住居として契約しなければいけないので非課税です。
ただしオーナーによってはSOHOでも家賃を課税対象とするところがあるので、契約の際は慎重にご確認ください。
住居で使用している期間は非課税ですが、用途変更して事務所として利用し始めたらそこからの家賃は課税対象です。
なお事務所に用途変更するとオーナーが消費税を税務署に納税しなければいけなくなるため、居住用→事業用の用途変更はオーナーにあまり好まれません。
事務所として使いたいのに用途変更できない……となれば支障も出てくるので、もし利用途中の用途変更が事前に予測できる場合は契約時点で貸主側に相談しておきましょう。
家賃をバラバラに支払っているなら1階(店舗)は課税対象、2階(住居)は非課税です。
まとめて支払っている場合は面積の割合で家賃を割って、店舗部分だけが課税対象となります。
<例>店舗:住居=6:4、家賃10万円の場合
店舗家賃・・・60,000円+6,000円=66,000円(税込)
住居家賃・・・40,000円(税抜)
滞在期間が1ヵ月未満の場合は一時貸付とみなされ課税対象です。
滞在期間が1ヵ月以上の場合は施設の経営形態により異なります。
旅館業の貸付とされればどれだけ長期滞在しようと課税対象ですが、1ヵ月以上の滞在で非課税とする場合もあります。
この点はウィークリー(マンスリー)だからどっちだ、ということが無く一概には言えないので、ご契約の際に料金がどうなるか施設側へご確認ください。
本人の利用方法がどうであれホテルは居住用施設ではないので料金は課税対象です。
たとえ利用期間が1ヵ月以上でも非課税にはなりません。
家賃が高くなると消費税の有無で支払い額にも大きく差がでます。
賃貸借物件を借りる際には、居住用なのか事業用なのか、どの程度の期間利用するつもりなのか、用途変更の予定はあるのか?といった条件を定めてから契約を交わしましょう。
また、SOHOやウィークリーマンションなど、オーナーや運営企業の方針による違いもあるため、「この条件ならたぶん非課税になるだろう」と油断せず契約内容をしっかりとご確認ください。
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