人事異動は誰のため?

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人事異動は誰のため?

眩しかった陽射しが落ち着いて、だんだんと過ごしやすい日が出てきました。
吹く風に涼しさを感じるようになり、ようやく秋が訪れたと実感できるような気候になってきましたね。

9月に決算期を迎える企業では、この時期人事異動が発生するところもあるでしょう。
辞令内容によって部署が変わるだけの人もいれば、勤務する事務所が変わって引っ越しが必要になってしまった!など事情は様々ですが、部署異動や転勤・出向を命じられた場合「今までと同じ業務を、同じように」はできなくなります

環境が変わることは楽しみでもあり不安でもあり……「今回は自分が対象となるのだろうか?」と気を揉んだ方もいたのではないでしょうか。

人事異動を行う目的とは?

そもそもなぜ人事異動は発生するのでしょうか?

仮に「本社の花形部署にいた人が、閑散とした地方の小さな事務所でデータ入力をするだけになった」なら左遷かな……と判断できるでしょう。
しかし現実には営業成績が良くても、人事評価がそこまで悪くなくても、異動になるケースは多くあります

このとき会社や人事部の考えが見えないと、
「異動ってことは自分はもう必要ないんだ」
「前の部署で何かやらかしたのかな……」
と考えてしまいがちですが、実はそうではありません。

そこには会社が考える『適材適所の対策』が隠れているのです。

部署ごとの役割を続けると……

一般的に会社は部署や職種ごとにどんな業務を行うのか、役割が定められています。

『人事部』 採用や労務管理など人材に関わる事
『経理部』 経費精算や支払、帳簿の作成などお金に関わる事
『広報部』 社内外の情報管理や、メディアの窓口を担当
『営業職』 自社の商品やサービスを購入・利用してもらうために商談を行ういわば会社の「顔」となるポジション
『受付係』 来社された方のご案内や社内外からかかってくる電話の対応

他にも会社によって様々な部署が存在し、それぞれが役割を担っています。

 

環境に慣れすぎるとマンネリ化する

業務が分かれているため、基本的に『経理部』に所属している人がお客様と直接商談を行う……といったことは起こりえません。
一つの部署が決まった仕事を担ってくれているから業務がスムーズに流れていき、会社全体が上手く回っているのです。

同じ部署で同じ仕事を続けていくと専門性が上がっていきますが、ここで一つ問題が起こります。
それが業務のマンネリ化です。

 

マンネリ化の放置は大きなデメリット!

ほとんどの方は入社後本人の希望を考慮した部署に配属されているのですから、“やりたい仕事を行っている”という点では悪いことが無さそうに思えます。
自分のやりたい仕事を任され、年々スキルも上がってお給料も増えていけば不満は起こらないでしょう。

しかしそれが長期に渡ると状況は変わります

毎日同じ場所で、同じメンバーで、同じ仕事内容を、同じように処理……。始めはやる気に満ち溢れていた社員も、仕事がマンネリ化してしまうと仕事への意欲が失われていきます。

  • 簡単な作業に時間をかけるようになる
  • 以前のような成果を出さなくなる

など、会社への影響もゼロではありません。

マンネリ化を防ぐためには環境を改善させる必要があり、その手段の一つが『人事異動』なのです。

適材適所の対策

誰がどんな環境・業務に適しているのか。
それを入社時点の一発目で正解し、社員から不満も出ず何年何十年続けていける企業はまず無いといえるでしょう。

では一人一人の適性を量るためにはどんな対策をとっているでしょうか?

 

①部署を異動する

マンネリ化した社員が別の部署へ異動することで「新しい仕事を覚えなきゃ」「環境が変わったからまた一から頑張ろう!」気持ちがリセットされるので、モチベーションを上げることが期待されています。

もちろんただ部署を変えればいいわけではなく、本人の希望や仕事内容の関連性を考慮することは大切です
ヒアリングで自分から「こんな仕事をやってみたい」という希望を出せたら、異動に伴って挑戦できる機会が与えられるかもしれません。

 

②ジョブローテーションを行う

新卒採用で入社した方がまず行うイメージのある『ジョブローテーション』。いくつかの部署を順番に回り、それぞれの業務内容や職場の雰囲気を実際に確かめることができます。

入社して数年経った社員も参加できれば

「他の部署ではこういう仕事をしていたんだ」
「今の仕事、もっとこういう風に処理したら上手く連携がとれそうだな」

という気づきが生まれるので、それまでよりもぐんと視野が広がります

また、実際に業務に携わることで「こちらの仕事の方が合っている」と判明する場合もあるでしょう。
会社としても、より生産性や向上心を高く保てる方を担当してもらえればメリットが大きいので、こうした発見を期待して行う場合もあります。

 

③別の事務所へ転勤

転勤は「地方に飛ばされる」「左遷された」なんて悪いイメージもありますが、当然そればかりではありません。

「A支店で売り上げに貢献してくれたから、伸び悩んでいるB支店の改革に抜擢しよう」
「この社員にはC事務所のやり方が合っているな」

といった判断がされると、会社が『適材適所の対策』として転勤を命じることがあります。
むしろ転勤を命じた社員に対して、会社をもっと成長させてくれる能力があると期待してくれています

 

一緒にあると嬉しい住宅手当

ちなみに支店が多い企業では、引越を伴う転勤が発生する場合もあります。

ただでさえ環境の変わる人事異動、「引っ越しまでしなきゃいけないのは大変だな……」という気持ちが強くなると、転勤を断ったり退職を選ぶ人も出てくるでしょう。

その対策として

  • 引っ越し費用を会社が払う
  • 社員寮借上げ社宅制度を設ける
  • 住宅手当を適用し、補助額を給料に上乗せする

など、転勤時にかかる社員負担を軽減するために様々な対策がとられています。

これから大手企業や転勤の可能性がある企業にお勤め予定の方は、こうした住宅系の手当てが整っているのかを先に確認できると安心ですね。

人事異動は誰のため?

社員一人一人がどんな仕事に向いているのか、今の業務を続けさせるべきなのか、それとも変えてみるべきか……。
人事部としても判断に迷うところですがそこには必ず理由があります。

人事異動が発令されたとき「どうして自分が該当したのか、なぜこの異動内容なのか」その背景を考えることが大切。
自身のステップアップに繋がる栄転だと思えたら、新しい環境での仕事も楽しみになりそうですね。

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