管理会社のマンション離れ──現代の管理事情とは?

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管理会社のマンション離れ──現代の管理事情とは?

当サイトでもでご紹介している借上げ社宅制度。

企業様毎の規定に沿ってはいるものの、『お客様の希望内容に沿って部屋を探す』という点では通常のお部屋探しと変わりません
せっかく住むなら居心地の良い物件がいい!と「バス・トイレ別」「2階以上の部屋」「駅から徒歩10分以内」などのご希望内容が出るかと思いますが、実は他にも気にするべき点があります。

不動産事情に詳しい方ならご存じかと思いますが、お部屋探しをする際一緒に気にしておきたいのが『建物の管理会社』です。

いまこの管理会社に転機が訪れています。

管理会社って何をしているの?

マンションやアパートをはじめ、建物は建てたら終わりではなくその後もメンテナンス作業が必要になります。

以下にいくつか例を挙げてみました。

 

建物のメンテナンス
  • エントランスなど共用部分の清掃
  • エレベーターの点検
  • 消防設備の点検
  • 修繕工事の計画、進行
  • 掲示板へ資料の掲示、撤廃

また、賃貸物件の場合は入居者が入れ替わるので

室内の管理
  • 入居者募集
  • 解約に伴うクリーニング、原状回復
  • 老朽化した設備の点検、交換

といったメンテナンスも大切です。

建物の管理がきちんとされていれば、清掃が行き届いてゴミの散乱が無かったり、設備は定期的に点検されて正常に作動していたりと、安心して住まえる環境が整います

 

建物の管理は誰がやるの?

実は「管理するだけ」なら資格は必要なく、極端に言えば不動産知識ゼロの方でも管理可能です。

ただ簡単な清掃や入居者募集はできても、エレベーターの点検や修繕工事は素人の手には負えません。できるところは自分でやっても、外部の力を頼る部分は出てきます。

基本的に資格は不要でも、結局は専門家の手を借りる必要はあること。
そして『入居者募集』や『室内設備の点検』といったことも、できれば専門家が間に入った方がトラブルが少ないという点から、不動産を所有している方の多くは管理会社と契約しています。

建物から管理会社が離れている?

建物があれば管理会社がある。

そんな常識が近年崩れており、建物の管理を断るケースが増えてきています。
先日朝日新聞からも『マンション「管理拒否」増加 前代未聞のはずが 管理会社の事情は』という見出しで記事が出たばかりです。

不動産の所有者の方にしてみれば「そんなこと言われても困るよ!」という状況ですが、管理会社としてはどんな背景があるのでしょうか?
そこには大きく3つの理由があると言われています。

 

①管理コストの上昇

管理コストが上昇したことで建物管理を離れる会社が増えています。
その理由が、最低賃金の引上げです。

例えば「共用部分の清掃」という業務に対して、管理会社の社員が直接清掃に向かっているパターンと、清掃会社やシルバー人材センターと契約して作業を任せているパターンがあります。

後者の場合は作業を任せることで人件費がかかるのですが、最低賃金が引き上げられたことで近年この管理コストが増えているのです。
かといって自社社員に向かわせるなら他の管理業務に手が回らなくなるし、その分人手が必要になるから結局は人件費がかかる……といったことが起こっています。

簡単な清掃ならすぐに対応できそうですが、管理物件が多い、エリアが広範囲で移動が大変、定期的に見に行くことができない距離、といった事情があると外部の力が必要。
ここの折り合いをつけるのが難しいようです。

 

②現場の老朽化

築年数が何年何十年と経ってくると、当然建物や各設備が老朽化していきます。

すると築年数が浅い物件に比べて修理・修繕しなければならないリスクが増えてくるため管理を断るケースがあるのです。
修繕工事の見積もりも高くなっていきますから、そうなると住民の方々に修繕積立金や管理費の値上げをお願いすることになります。

しかし住民も高齢化が進み、年金暮らしの方が増えていることから簡単には値上げすることもできず、十分な採算が見込めずに管理業務から撤退する……なんてこともあるのです。

 

③法律の改正

マンション管理人という仕事は、かつて「シニアの第二の働き口」と呼ばれる程人気がある仕事でした。
上でも記載したように資格の要らない仕事ですし、専門的なこと以外は清掃や見回りなど簡単な仕事が多いため、60歳で定年退職した人が「まだまだ仕事をしたい」となったときに選ばれることが多かったのです。

そんな状況が変わったのが後期高齢者雇用安定法 改正の影響。本人の希望があれば65歳まで雇うことが義務化され、会社によっては70歳まで働くことも可能に。
その結果定年退職者をスムーズに確保できなくなりました

年金受給額が上がれば働く必要もなくなります。
そして70歳頃になってから新しい仕事を……となると、やはり給料の良い仕事の方がいいですよね。

そこで一つ目の理由で説明したような「最低賃金の引き上げ」がここでも持ち上がります。
かつて人気の仕事だったとしても昔の話。適正な給料を提示できないならば「他の求人の方が条件がいいから」とあまり見向きされなくなっているのです。

住民自身が管理を行うことも

快適な暮らしには誠実な管理が必要ですが、タダで何でもしてくれ!とはいかないもの。こうして管理会社のあり方がいま問われています。

なかには住民達で構成されるマンションの管理組合が主体となり、清掃や見回りなどを自らで行う動きが出ています
ただ、当番制にするにも誰がいつ行うか?問題があったときの対処方法は?その経費はどこから?誰が取り仕切るの?と様々な注意が必要で、実行するのが難しいのが現状です。

さらに都心では単身世帯が多く「同じマンションにどんな人達が住んでいるのか知らない」「平日は仕事だから対応ができない」という人が増え、管理組合が機能していないケースもあります。

 

快適な暮らしに大切なこと

マンションの管理が行き届かないとゴミが散乱していたり、設備の故障に気が付けなかったり、夜は電球が切れて敷地が真っ暗に……なんてことが日常になってしまいます。
見回りができず人の目が無いと、思わぬ住民トラブルが発生することもあるかもしれません。

昨年よりコロナ禍の影響で自宅にいることが増え、自分の住んでいる建物の状況が気になる方も増えています。

マンション管理は快適な生活には欠かせないもの。
管理会社がきちんと対応してくれているところか?今後も管理を任せられそうか?そんな点も気にしてお部屋探しができるといいですね。

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