社会人になったばかりの頃、先輩や上司からまず『報連相』を教えてもらうことがあります。
皆さんご存じの通り仕事の心構えのひとつで、『報告(ホウコク)・連絡(レンラク)・相談(ソウダン)』の頭の文字をとったものです。
仕事をより円滑に進めるために必要なスキルなので認知度も高いと思いますが……知ってはいてもできていない、と言う方も意外と周りにいるかもしれません。
報連相がきちんと機能していれば
といったメリットがあります。
従業員からすると「気になる事があったらこまめに声かけてね」という環境があれば、風通しのいい職場だと感じて働きやすくなります。
企業側としてもぜひ目指したい職場の目標ですよね。
ビジネスのコツといえば報連相の他に『SMARTの法則』があります。
SMARTの法則とは‟目標達成の可能性を高めるために必要な行動指針や、効果的な目標の設定方法のこと“で、5つの要素の頭文字をとっています。
──目標が曖昧ではなく、具体的であるか
──数値化できているか
──希望ではなく現実的な内容か
──何のためにするのか、部署や会社の目指すものと外れていないか
──いつまでに達成する必要があるのか
例えば月のノルマを決めるにしても、
「何件でもいいけど、じゃあ100件……いや120件にしとく?期限は、う~ん……2~3ヵ月以内くらいで」
なんて理由もないまま適当に決める上司はそうそういませんよね。
無茶な数字を設定したら負担が大きくなるし、かといって簡単に達成できるラインばかり設けられても高いモチベーションは維持しにくいものです。
パフォーマンス向上のためにも目標設定は必要ですが、適当に決めるのでは意味がありません。
『SMARTの法則』に挙げられている1~5の各要素が満たされるように目標を設定すると、より優れた目標を掲げることができる、と言われています。
部署や役職によってどんな目標を設定したいかが変わってくると思いますので、自分自身の立ち位置を考えて参考にしてみてください。
目標設定が多いのが営業職。ノルマに追われ毎日忙しい!という方もいると思いますが、もしかしたら目標設定の見直しで状況が良くなるかもしれません。
漠然と「契約をとる!」だけではなく「月に何件とらなければいけないのか」「どんな相手から契約をとりたいか」などを考えましょう。
「毎月100件の営業電話をかける」「前年同月比で10%売り上げアップする」といった数字を設定すると、「あと5日で〇〇件達成だから、今日は△△件やるか」と行動がしやすくなります。
仮に毎日5件ずつアポイントを取っている人が「もっと頑張れそうだな」と思っても、「来月は月1,000件だ!」なんて言えば無茶だと思われます。
5件×出勤日数20日=月に100件
を基にして、120件程度に増やすのであれば現実的です。
部署が「新規受付停止中。既存顧客のサポートを重点的に行う」としているのに、「新規契約とるぞ!」と張り切っていたら目も当てられません。部署や会社の目指すものと齟齬が生じていないか確認しましょう。
目標が「10件の契約」だったら、それが月の目標なのか、上半期の目標なのかも設定しましょう。期限がわかればモチベーションが維持しやすくなります。
人事で苦労するのが新しい社員の採用。会社のビジョンに合っている人なのか、これから上手くやっていけそうな人物か、慎重に見極めるためにも目標を設定してみましょう。
どんな人を採用したいか、入社してもらうにあたって必要なスキルはあるか、どのくらいの期間働いてほしいのか、といった点を明確にしていきましょう。
「営業職3年以上の経験者を2人いれたい」「TOEICスコア800点以上が条件」など、採用基準のラインを定めると合否判定もしやすくなります。
人事採用者が2人しかいないのに「50名応募があった!時間が無いから全員1日で会おう」というのは難しいです。時間や場所の確保をしたうえで「1日何人面接できるのか」を決めましょう。
ここでは優先度を意識します。他に人手不足で困っている部署があるのに、「ここ、人いた方がいいよね!」と関係ない部署を優先していないでしょうか?
また、「事務に手が回らない!」という声があるのにさらに営業職を募集しては現場の意識と齟齬が生じてしまい、採用しても結果職場で上手くいかないことが多いと思います。
「産休に入る人がいるから、休みに入る2か月までに採用したい」「繁忙期前に人を補充したいから、9月中に入社できる人」と、「なぜ人が必要なのか?」の事情を考慮すると期限を設けやすくなります。
管理職の場合、部下のマネジメントも重要な役割になってきます。ここではどんな人物が自分の部下に居てほしいか、どうやって育てていきたいかを考えていきましょう。
「よく頑張ってくれる人」は欲しいですが、目標としてはざっくりしています。
部署の求める人物像を反映して「初めて会う外部の方とも、にこやかに会話ができる」「注意をしたら反発せず受け止められる」「報連相を怠らず、こまめに声をかけてくれる」といった内容を設定するとわかりやすいです。
進捗状況を確認するため「週の始めに30分ミーティングの時間をとる」といった対策をとることも目標の計量(数値化)です。
また有資格の業務があるならば「部署内に有資格者を3人~5人確保する」「取得のため勉強時間を1日1時間設ける」といった設定もできます。
部下とコミュニケーションをとりたいあまりに「毎日仕事帰りに居酒屋で話を聞く」「自分以外の社員と話すことを禁止する」なんてことはやめましょう。
基本は部署ミーティングの場を設けるなどし、たまに「ランチに連れて行き仕事の雰囲気から離れたところで話を聞く」くらいならちょうどいいかもしれません。
部署の目標が「新規顧客5件獲得」であれば、「そのうち1件は自分の部下が獲る」といった目標なら適切です。達成することで部下も自信が付きますし、「ボーナスが出る」「昇給のチャンスがある」と本人が喜ぶ関連性も生まれるなら、双方にとって良い目標といえます。
「入社してから半年は指導するが、それ以降は自分で切りひらく」「契約100件までは同行して、ノウハウを教える」など指導のラインを引くと、「それまでに一人でできるようになろう」という意識を持ってもらえます。
ダラダラ仕事をしないように目標を設定することは重要ですが、あまり無茶な内容でも負担が大きくなってしまいます。
SMARTの法則は実現できる範囲の“効果的な目標の設定方法”を示したものなので、無理に高い目標を設定しよう!というものではありません。
毎日様々な業務をこなす中では、自分のレベルや状況を見極めることも大事。仕事に真摯に向き合うために、まずは達成できそうな目標から決めてみてはいかがでしょうか。
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